統計検定準1級を勉強していて感じていたが、出題範囲が非常に広いので、合格を考えると効率よく出題範囲を抑える必要を感じて、整理した。
過去問を漫然と解くよりも、類題をまとめて解いていったほうが知識の確認もしやすいと思い、準1級対策時に分析した。
過去問自体が未だ少ないという事もあるので出題傾向が変わっていく可能性も大いにありえることは注意されたい。
区間推定・検定
出題例
- 2015年 問3
- 2015年 問4
- 2015年 問7
- 2016年 問4
- 2016年 問5
- 2017年 問6
概要
だいたいのテキストでは分けて書かれているが、実際は区間推定と検定は非常に関連度が高いのでまとめて概観した。
だいたいは2級に出ているレベルで、「易しい問題が多いので取りこぼしたら落ちる」と考えたほうが良い。
内容も定番の、
- 母平均の推定・検定
- 母分散の推定・検定
- 母比率の推定・検定
が多い。
このあたりは、何も考えずに覚えるのではなく、母集団に正規分布が仮定できるからとか理屈も抑えておくとど忘れして解けないという憂き目にも遭いにくいはず。
過去問では、検出力の出題もあるのでP値などの検定・推定周りのキーワードを抑えておくといい。
2標本問題も出るには出るが、あまり見かけないので、盲点にならない様にしておくといい。
1級数理の2015年第2問が理解を深めるのに良い問題だと思うが、最強力検定出題の可能性は低いと思うが……
適合度検定
出題例
- 2015年 問12
- 2016年 問10
- 2017年 問10
概要
毎年出ているといっても過言じゃないくらいに出てくる。
数理的背景は非常にフクザツなので理解は困難だと思う。
ただし、覚えるだけで解けるのでチェックが必要。
不偏分散が自由度n-1のχ^2分布に従うことを覚えておけば忘れにくいと思う。(ただしこれも証明の理解は困難)
分散分析・実験計画
出題例
- 2015年 問11
- 2016年 問7
- 2016年 問9
- 2016年 問13
- 2017年 問7
概要
出題頻度が高い割に得点源にしやすい範囲。
実際には「分散分析の仕組み」を抑えておかないと解けない問題が多いように感じる。
$$S^2を標本分散としたとき、$$
$$E[S^2]=σ^2$$
であることを示す際にも使う、「偏差の分解」という考え方を持っておけばOKだと思う。
実験計画は理系出身ではなかったので非常に苦労した。
実際、実験計画の本を図書館で探して1冊丸ごと勉強した。
マルコフ連鎖
出題例
- 2015年 論述問1
- 2016年 問11
- 2017年 問11
概要
毎年出ている。
そして、比較的や易しい。
理解うんぬんよりも、実際に書き下すことで糸口が見える、大学受験の確率の問題に近い。
定常分布などの求め方だけしっかり抑えておけば得点源にできるはず。
回帰分析
出題例
- 2015年 問15
- 2015年 問10
- 2016年 問6
- 2016年 問13
- 2016年 論述問2
概要
2級までの知識で対応出来る物もあるが、時系列や対数変換、残差に関する問題などややこしくなるものも少なくない。
毎年の様に出てくるDW統計量だけはマークが必要。
数理的な側面だと、直接問われることはなさそうだが、正規方程式を立ててて解く流れだけは抑えておいて損はないと思う。
多変量解析
出題例
- 2015年 問16
- 2016年 問14
- 2017年 問3
- 2017年 問13
- 2017年 論述問1
出題が多い上に、論述問題の大問になったり、ウエイトが大きくなりがち。
数理的な側面の追求は正直言って準1級では厳しい(と思っている)ので流れを確認しておくべき。
- 主成分分析
- 因子分析
- 判別分析
- クラスター分析
は出題実績があり、勉強がしやすいと思う。
1級との違い
1級はひたすら確率分布の期待値、不偏推定、最尤推定、推定値の漸近性、有効性、一致性などを確認する問題が多かった。
確率や推定値に関する知識と計算で表現する問題が多いなど顕著な傾向があるが、準1級は範囲が広すぎて対策が難しい。
上記の様な頻出分野の理解を深めたら、個別の分野にに対応した書籍を読み漁っていくのが遠回りのようで近道だと思う。
私は大学の図書館で本を読み漁って対応していた。
朝倉書店の統計ライブラリーや、統計解析スタンダードにおすすめが多いが、私の様に図書館で借りていたのではなく買っていたら分野ごとに3,000円程度のかかるので「統計検定準1級対策の書籍紹介」では紹介していなかった。
何の面白みもないが、これまで紹介してきた頻出の分野を「確実に抑える」に尽きる。