最近読んだ本に古代インドの恋愛についての本があったので読んでみたら意外と面白かったのでシェアしてみた。
インドにおける人間の目的
古代インドの価値観に従えば、
- アルタ(商売)
- カーマ(愛)
- ダルマ(法)
- というような3要素が重要とされている。
- この3つにはそれぞれ学ぶ適齢期がある。
- 少年期には商売などを通じて独立する術を習得しながらアルタを学ぶ。
- 青年期には五感の体感を磨くことがいいとされて、中には異性との情交も含まれる。この時期にはカーマの涵養が推奨される。
- そして、老年期にはそれまでに積んできた技術や経験を生かしてダルマを大事にしていく。
- 『カーマ・スートラ』はその中でのカーマについて中心に書かれている。
- 原典は大昔のものだが、カーマ・スートラは4世紀頃に一般の人間でも学びやすいようにバラモン教の学者によって編纂された。
- ちなみに4世紀のインドってなんだっけ?と思って調べたらグプタ朝の時代。チャンドラグプタ1世とかが活躍してたりした頃なのかな?
インドの古典なのにちょっぴりおもしろい理由
カーマ・スートラ自体でも1500年以上前、その根源の書籍なら2000年以上も前に編纂された可能性もある。
それでも、現代に生きる人間もいくらか楽しめると思う。
1.恋愛や人間関係に関する著述がかなり詳細で共感しやすい
私の印象に強いものでも、
- 女性を口説く手順(後述)
- 男性への求婚の手順
- 女性を怒らせてしまった時の謝り方
- 結婚したい女性がいる時の根回しの仕方
- など、カースト制や男尊女卑などのイメージもあるのに現代の人間にもかなり通底するところが多い。
- しかも、書店で手に入るようなどの本よりも内容が濃い。
- 人間は2000年前に答えが提示されている事を悩み続けてるって少し滑稽に思えたりもする。
理想的な生活習慣も現代と共通
ナーガラカ(都人士)という学識ある裕福な男性がかくあるべきというような内容も書かれているが、現代の金持ちと似ている。
朝早く起き、体操などをして朝食をとる。
朝食後はオウムに言葉を教えたり庭いじり。
昼食を終えひと眠りしたら他の都人士との社交の場に赴く。
夜は彼らと飯を食らいながら語らい、時に遊女と遊んだりする。
もうなんか、現代の金持ちとやっていることが大して変わらないんじゃ……
都人士のための女性の口説き方
現代人はネットでググるんだろうけど、古代のインド人たちも同じことを調べて学んでいたようだ。
口説くべき女性とは
華美にすぎず程よく きれいに着飾っていて、程よく酔った女性
程よく酔ったというのは少しお酒も入って緊張感が和らいでいて話しかけやすいといったくらいのニュアンス
具体的なプロセス
やさしく話しかけ、いわゆるジェントルマン的な気遣いをし、打ち解けたら一緒にお酒を飲む。
話をするときは自分のことを少しばかり話したす、女性がたくさん話すように仕向ける。男はすでに聞いたことのある内容だったとしても初めて聞いたような態度で聞く。
話をするときは女性の右側に座る。スキンシップとして髪の毛やアクセサリに触れたりするといい。
話も弾み距離感も近づいてきたら肩や腰に腕を回して抱き寄せる。
更に酒を楽しみながら冗談を言ってみたり愛を囁いて距離を縮める。
そんなこんなをしていて相手に情欲の色が見えたら二人きりになって……
という段取り。
2~3の突っ込みどころはあれ、完全に現代でも適用できると思う。
おわりに
我々に召使や奴隷はいないし、テクノロジの発達で生活スタイルは古代のインド人とは大きく異なるけれど、人間としての根本は同じ。
現代の人間にも変わらずカーマ(愛情)は必要なんだと思う。
カーマ・スートラはほかにも性交時の心構えや体位についても記されている。
ともあれ、内容が普遍的で、自分事として当てはめてながら読めるからこそわかりやすく、多くの人に受け入れられ、現代まで残ったんだと思う。
マンガ版もあるらしく、とっつきやすいと思うので興味がわいたらぜひ。