何をしようにも必要になってくるのが相手目線。
突き詰めればマーケティング。
名著から学んだマーケティングのエッセンスを再吟味、整理。
マーケティングとは
ものを売れるようにすること。
お客さんに選ばれるような条件を整えること。
そのためにコントロールすべき接点は
- mental awareness
- physical awareness
- 商品の使用体験
の3つ。
要は、ブランドが認知され、物理的に購入可能で買いたくなるような魅力ある商品を用意するという事。
それぞれが果てしなく難しいのは言うまでもない。
マーケティングの全体像
- 現状分析
- 目的設定
- WHO
- WHAT
- HOW
となる。
現状分析で判断材料を集めて、現実的な目的を設定。
そこから対象顧客を決定し、提供するブランド価値を考える。
そして最後に顧客へのブランド価値の提供方法を考える。
というのが大まかな流れとなる。
状況分析
目的
一言で言えば市場構造の理解。
市場のあり方をよく把握して流れに乗るためにおこなう。
そのために質の高い情報を集め精度の高い意思決定が必要になる。
5C分析
ビジネス環境を理解するにあたって5つの領域がある。
- Company
- Consumer
- Customer
- Competitor
- Community
となっている。
Company 自社理解
自社の現状把握を行う。
把握するのは
- 経営資源
- 得手不得手
- 組織の意思
経営資源の把握
- 投入人員
- 予算
- 特許、知財
- 所有データ
を把握して出来ることできないことの限界を確かめる。
得手不得手の把握
過去にやってきたことの成功事例、失敗事例とその原因を把握して会社の能力や性格を把握する。
組織の意思の把握
どれだけすばらしいアイデアが思い浮かんでも、会社の理念や方針に反していればその企画は採用されません。
そんな事態を避けるためにステークホルダーの意向を把握しておきましょう。
Consumer 消費者理解
消費者理解においては量と質の両面において消費者を理解することが重要。
量的理解
- 年齢、性別などの人口統計学的データ
- 商品の浸透率、認知率、購入率、購入頻度といった購買行動
- ブランドへの消費者の認識の理解
で消費者の全体像を把握する。
森岡さん曰く、2流と3流の違いがこれができているかにかかっているとのこと。
質的理解
商品の購入という状況をこえて、常日頃の関心やある状況下での行動など顧客そのものの理解をする。質的な消費者調査の果てには消費者自身が気付いていないような深層心理にも迫る(消費者インサイト)
Customer
卸し先などが存在する場合はその会社の強みや方針を理解して、それにある程度歩調を合わせることで効率がよくなる。
Competitor
同種の商品やサービスを取り扱う直接の競合企業の強み、方針を理解(狭義の競合理解)をすると同時にもっと広義の競合について理解する必要がある。
広義の競合については例えば『USJを劇的に変えたたった1つの考え方』によればUSJの提供する価値は「時間の取り合い」「非日常への逃避」といった点においてスマートフォンが大きな脅威といったことがある。
Community
ビジネスの周辺環境は時としてビジネスの追い風になったり向かい風になったりする。
例えば税率の変動、法改正、景気変動などがある。
とはいえいち企業でコントロール出来ない場合がほとんどなので注意深く観察して変化に適応する。
目的設定
達成条件や期日を定めておかないと話が前に進まない。
また、この目的の設定によって対象顧客や提供価値、提供方法も変動するので非常に大事。
その目的設定においては
- 実現可能性
- シンプルさ
- 魅力的であること
の3点を重視する。
実現可能性
達成が容易であれば「ヌルゲーですわ~」といわんばかりにやる気が出なかったり、手を抜いたりして最悪の場合、達成確実のはずの目標で大ポカをしてしまうこともある。
逆に難しすぎて「こんなん無理ゲーやん」と思ってしまえばあがいても無駄と無気力になってしまったりします。
高すぎず低すぎずの微妙なラインをつかなくてはいけない。
個人的にはギリギリ達成できそうと思える難易度設定は自分の能力の95%~105%くらいです。
シンプルさ
息の長いものであればあるほど、「20代の女性客を増やす!」くらいにシンプルなものじゃないと目標を設定した本人でさえあいまいになってきてしまいます。
組織であれば死ぬほどシンプルなものじゃないと確実に忘れられます。
そうなると、最適なリソース配分が曖昧になってきて目標の達成に影響を及ぼしかねません。
魅力
達成した時の対価が魅力的でないとモチベーションが上がりません。
やっぱり人間の原動力は「欲」
人間の本質ともいえる「欲」に訴えるような魅力的な報酬が予感できれば、にんじんをぶら下げられた馬の様にモチベーションが高まります。
結果的に納期を前倒したり、予想以上にクオリティの高いものが仕上がることもありえます。
WHO 売る相手
決まった目標を達成するためにはどんな人に買ってもらうのが最も効率的なのかを考えてリソースを集中させて、目的達成にむけて着実な前進をすべきです。
多かれ少なかれ人によってニーズの偏りがあります。
その偏りに応じた最適なリソース配分にするのです。
戦略ターゲット
目安として、顧客の8割を獲得するレンジで定める。
ここを外れた顧客は捨てる。
注意点としては、中長期でブランドにも影響を与えるのでそれを考慮する。
また、ダブル・ジョパディの法則も考慮してレンジを狭めすぎないこと。(『ブランディングの科学』参照)
コアターゲット
戦略ターゲットの中でも最もリソースを投入するターゲットのこと。
戦略ターゲット+αでリソースを投下し、さらなる施策を行う。
全顧客の1~3割を目安として考える。
コアターゲットとそのほかを隔てる違いが何なのかを明確にしておく。
ターゲットの探し方
ターゲットのあてをつけるときには6つのパターンがある。
ペネトレーション
浸透率を高められる属性へのアプローチ。
ブランドのなかで利用者の少ない層を厚くするということ。
ロイヤルティ
既存の利用者の中でブランドの属するカテゴリ内でのシェアを高めるのに適した層へのアプローチ。
他ブランドにスイッチされるリスクを落とすこともできる。
コンサンプション
既存の利用者の1回あたりの利用量を増やす試み。
工夫によって1回あたりの利用量を増やせそうなグループを探る。
システム
既存使用者に使用商品の種類を増やす。
例えば、スマホを売っている会社なら画面フィルムやケースも買ってくれそうな層を探す。
パーチェス・サイクル
購入のインターバルを短くする。
毎日昼におにぎりを買っていく人が朝も買ってくれたら売上が伸びる。
ブランド・スイッチ
競合ブランドの利用者の中から乗り換えてくれるグループを探る。
ドコモがソフトバンクから奪えそうな客層を探して施策を講じること。
消費者インサイト
5C分析で調べた顧客の情報を吟味して、
- 顧客が一発で納得できる説得
- 感情に訴え、ドキッとさせる
という方向性のアプローチをする。
WHAT
消費者お客さんに与える根源的な価値が何なのかそこを決める。
ルイ・ヴィトンのバッグの価値は値段が高い、フランス製、カッコいいなどがある。
紐解いていけば根源的価値の一つに自尊心を満たすといったところがあると思う。
既存企業やブランドとの関係を踏まえてどんな価値としてお客さんの目に映るのかも考えてみる。(ポジショニング)
HOW
WHAT(提供する根源的な価値)をWHO(ターゲット)に届ける方法のこと。
このHOWはマーケティング・ミックスとして4領域に整理されている。
それぞれの頭文字をとって4Pといわれる。
Product
名前の通り製品そのもの。
Whatで考えた価値を伝えるための製品やそのスペックを決める。
- デザイン
- 量
- パッケージ
- 性能
- 素材
Price
Whatで目指したポジションに適した価格を決める。
その際に考慮すべきドライバーは
- 需要
- 原価や販管費
- 競合
- 価格弾力性
となっている。
Place
Whoで決めた人に買ってもらうところ。
どこかの小売りに卸したり、ネットで店舗を作ったりと方法は様々。
基本的には卸すか、自分で売るかになる。
Promotion
Whoへの適切なアプローチ方法。
どんな方法で(新聞、電車のつり広告、youtube広告など)を選んで、買ってもらうためにどんなメッセージを届けるかを考える。
実際に使ってみて
自分の中では各要素をExcelに入力してチェックリスト的に活用しています。
その上で思うのが、Whoのところを自分や周囲の人間の何となくの印象で設定してはいけないなということを強く認識しました。
実際にアンケートデータを買ったり、そこで主成分分析をしてみて類推したり、最も時間がかかるし、ここでコケると後ろのWhatやHowにも影響を及ぼすということを痛感しました。
やはり、思考のフレームワークはとても勝手がいいと思います。
何件か実際にこのフレームワークで方針を決めて実行してみて成功例や失敗例を眺めながら自分用の改良版に仕上げていくのが今後の課題。